「「「 もし“貴方”が“私”だったなら… 」」」 彼女の音楽はとても素晴らしかったから。 彼女はとても可愛かったから。 …だから、何も怖くなんかなかった。 他の道なんて知らない。 光を求めて掴もうとしたその思いは私にも分かる。 …でもそれは、本当に欲しかった物? 私は護ることを盾に誓った。 同じ道を進んでいたはずの彼は剣に誓い目の前に立つ。 …どうして、それを手にしたのか。 光の中に立つ彼/彼女。 こちらとの差は紙一重で。 誰よりも大切だった彼。 だからこそ彼がの裏切りは許せないもので。 …それを思い知らせてやりたかった。 他の道なんて知らない。 私を揺るがせるのはもはや彼女のみ。 …ならば排除するしか道は残っていなかった。 全てを護ろうと剣を手にした。 そして一人を護ろうとする彼が目の前に立っている。 …もはや互いの道は遠く離れたことを知った。 闇の中に立つ彼/彼女。 選択の小さな差異は決定的な差を生んで。 「「「 もし“貴方”が“私”だったなら… 」」」 僕は彼のことも忘れていない。 たとえ闇の中でも共に歩めば怖くない。 「一緒に行こう」 その選択の意味を彼女は知らなければいけない。 けれど光と闇はどちらが欠けても成り立たないのだから。 「一度ゆっくりとおやすみなさい」 どちらの道が正しかったのか。 否、正しいのは自ら探し出す第三の道。 「私達が選ぶべきはその道だ」 光と闇。 交錯する世界。交わる記憶。 そして。 青年は静かに扉を閉める。 「貴方の人生も悪くは無かった」 最後に大切な何かを取り戻した男を背中で見送って。 新しい道を模索するために歩いてゆく。 光が無くては影も無く。 けれど影の無い光もまた無い。 「月は自ら光らなくても輝いているもの」 互いに手を握りながら少女達は外への扉を開く。 「今度は僕も負けないからね」 「僕だって負けないさ」 少年達は笑いあいながら床に入る。 素晴らしい明日が来ることを確信して。 それは光の道と闇の道。 選ばれたのはいずれの道か。 確かなのは先に待つ『可能性』のみ。 分かれて、そして交わって。 人々は今日も歩み続けている。 光と闇の道 - Dual Side - を |